自分を指導する人

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 病院に入職した新人の看護師は、自他ともに認めるベテランになって看護の社会をけん引できるような存在を目指していることだろう。ベテランになるまでの道のりとして先輩からの手厳しい指導が待っていおり、その方からの指導を受けている際に、「自分もいつかあんなふうに厳しく指導するのだろうか、少なくとも自分だったら優しく指導するのに」ということを考えることがあると思う。しかし、人の命を預かる仕事である以上は生半可な気持ちでできる仕事ではなく、医療ミスをしてしまうことが許されないというプレッシャーがあるため、おのずと厳しい指導になってしまうのは仕方がないことだと思う。自分もまた立派な看護師になる過程において、次第に人の生死に関わる場面に遭遇する中で仕事でミスをしようものならば、病院としての評判が落ちる以上に、患者に申し訳ないことをしてしまったという自責の念に苛まれることになるため、何が何でも患者を守り通してみせるというくらいの強い信念を携えていかなければいけないのである。患者との関わりを通して看護師としての研鑽を積むことで、次第にベテラン看護師としての箔が付いていき、自分が新人の看護師に指導をする立場となったときに、「あの時の先輩のように、心を鬼にしてでも看護の大切さを伝えていかないといけないな」という気持ちで指導に熱意を表していくようになるのであろう。
 ベテランの人に仕事を教えてもらっていると、本当に自分も指導をしてくれている人のようにベテランになれるかもしれないという気持ちになることもあるだろう。まるでその人が直接守ってくれているかのような安心感を抱き、その人の下でならばどこまでも頑張っていくことができそうな自信さえもみなぎってくる場合があるだろう。このようにして、自分を包み込んでくれる拠り所があってこそ人は勇気を持って前に進むことができるのだと考えられる。自分を応援してくれるきっかけがあってこそ自分の思い描いている理想像に近づくために、日々の仕事を有意義なものとなれるようにひたむきな努力を積み重ねていくのである。
 仕事を覚えていくためには、ベテランの人からの教育が不可欠となりますが、「この人の言っていることがいまいち納得できない、本当にこの通りにしていけば仕事がスムーズに進むのだろうか」という疑問を抱くことがあると思う。どうしても新人とベテランとの間に仕事を巡っての対立が起こることもあり、仕事の仕方を変えるために新人がベテランを説得するのにも一苦労だろうと思う。